結論、特養(特別養護老人ホーム)でも、リハビリは受けられます。
ただし、病院や老健(介護老人保健施設)のように、リハビリを中心とした施設ではありません。
特養は「生活の場」。
日常生活を送りながら、その人に必要な機能を維持・改善していくことが基本になります。
この記事では、
① 厚労省基準での特養のリハビリ
② なぜ「特養にはリハビリがない」と言われる?
③ 実際はどんなリハビリを受けられる?
④もっとリハビリを受けたい場合はどうすればいいのか
などについて、11年間特養で働いた経験を交えて解説します。
①厚労省では、特養のリハビリがどう定められているのか
介護家族誰がどのようなリハビリをしてくれますか?
機能訓練指導員による訓練


特養には、機能訓練指導員を1人以上配置することが厚生労働省の基準で定められています。
機能訓練指導員になれるのは、
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
・言語聴覚士(ST)
・看護職員
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・一定の要件を満たす、はり師・きゅう師
などです。
機能訓練指導員は、入所者が日常生活を送るために必要な機能の改善や、機能低下を防ぐための訓練を行います。
「生活リハビリ」という訓練


入所者の日常生活やレクリエーション、行事などを通じて機能訓練を行うことが想定されています。
普段の生活の中で、介護職や看護職の支援を受けながら行うリハビリです。
・トイレで立ち上がる
・自分で食事を口に運ぶ
・洗面や着替えをできる範囲で行う
特養のリハビリは週何回?



決まった回数があれば知りたいです。
老健については、厚生労働省の解釈通知で、リハビリを「入所者一人について、少なくとも週2回程度」行うことが示されています。
一方、特養については、
入所者の状態に応じて、日常生活に必要な機能の改善や低下を防ぐための「機能訓練」を行うこと
と定められていますが、「週○回」という明確な回数は示されていません。
特養では機能訓練を行うことは定められていても、その頻度は一律ではないということです。
② なぜ「特養にはリハビリがない」と言われるのか
先述したように、特養ではリハビリの回数が明確に決められておらず、「月に何回受けているのか」が見えにくいのが実情です。
「生活リハビリ」の場合はリハビリ自体が普段の生活に溶け込んでいるため、家族からも見えにくくなります。
こうしたことから、「特養ではリハビリが積極的に行われていない」というイメージにつながっているようです。
さらに、特養ならではの人員配置も関係しています。
機能訓練指導員の配置基準の実情


機能訓練指導員は、最低1人いれば国の配置基準を満たします。
しかし、多くの入居者が暮らす特養で、1人が全員に十分なリハビリを行うのは難しいのが実情です。



それなら、機能訓練指導員を増やせばいいのでは?
と思うかもしれません。
しかし、人数を増やしてもその分だけ施設の報酬が増えるわけではありません。
そのため、基準を超えてリハ職を配置するのは簡単ではないのです。
私が勤めていた施設にも複数のPTが在籍していましたが、多くのPTはデイサービスなどに配置され、特養のリハビリを担当していたのは1名でした。
できるだけ多くの入居者に対応するため、リハビリの予定は常に埋まっている状態。
会議やほかの業務が入ると、予定していた方のもとへ回れないこともありました。





では介護士さんに少しマッサージしてもらうだけでも…
リハは誰でもできるわけではない


あん摩・マッサージ・指圧を業として行うには国家資格が必要です。
介護職はマッサージを提供することができません。
入居者から「背中が痛いから揉んで」「足が痛い」などと訴えられると、背中を優しくさすったり、冷えた手足を温めたりして対応していました。
③ 特養では、実際にどんなリハビリを受けられるのか
機能訓練指導員によるリハビリ
私が勤めていた特養では、機能訓練室で鏡や平行棒を使って歩行訓練をする方は、それほど多くありませんでした。
むしろPTが居室やフロアを訪問し、実際に生活している場所で立ち上がりの練習をしたり、普段は車椅子を使っている方の歩行訓練をしたりすることが多かったです。


寝たきりの方にはポジショニングを、姿勢が崩れやすい方には車椅子の調整や介助方法を職員に伝えるなど、機能訓練指導員は日々の生活を支える重要な役割を担っていました。


介護士によるリハビリ
介護士ができるのは生活リハ。その根本にあるのは、「維持できること自体に価値がある」という考え方です。
できていることを、少しでも長く続ける。
それは単なる現状維持ではなく、生活の質を守る大切な支援でもあります。


私が勤めていた特養では、こんなリハビリを行っていました。
⚫︎立った姿勢を保てるように、曜日や時間を決めて集団で立ち上がり訓練を行う。


⚫︎手伝ったほうが早くても、時間をかけて自分で洋服を選び、着たり脱いだりしてもらう。


⚫︎習字やパズル、新聞などいろいろなものを試し、本人が集中して取り組めるものを探す。


⚫︎厨房で改めて洗浄することを前提に、食器を洗ってもらう。


⚫︎食事用のエプロンをたたんだり配ったりして、日常の中で役割を持ってもらう。


⚫︎風船バレーなどの集団レクリエーションで、楽しみながら体を動かしてもらう。


風船バレーは、ほとんど体が動かない方でも反応してくれることが多く、人気のレクリエーションでした。
挙げればキリがないほど、特養ではたくさんの「生活リハ」が日常の中に組み込まれています。
では、「生活リハだけではなく、もっとマンツーマンでリハビリを受けたい」という場合はどうすればいいのでしょうか?
特養に入ったら訪問リハビリは続けられる?



入所前まで利用していた訪問リハビリを、そのまま続けることはできますか?
残念ながら、これまで利用していた介護保険の訪問リハビリを、特養入所後もそのまま継続することはできません。
特養は「施設サービス」、訪問リハビリは「居宅サービス」にあたるためです。
在宅から特養へ入所すると、介護保険は「居宅サービス」から「施設サービス」へ切り替わり、ケアマネジャーも特養の施設ケアマネへ引き継がれます。


もっとリハビリを受けたい場合は?
「介護保険外サービス」をご存知ですか?
介護保険外サービスは、全額自費で利用する代わりに、介護保険の回数や内容の制限にとらわれず、必要な支援を自分で選んで依頼できるサービスです。


施設でも国家資格を持つ専門職によるリハビリが受けられる
「介護保険外サービス」なら、国家資格を持つリハビリ専門職に施設まで来てもらい、マンツーマンでリハビリを受けることも可能です。
自費なので、回数や内容もその人の状態や希望に合わせて選べます。
施設でも利用できる【自費リハビリ】を調べ、対応範囲の広い会社をいくつか比較しました。(2026.9現在)
| クラウドケア | ストロークラボ | プラシム | フィジオジャパン | |
|---|---|---|---|---|
| 基本料金(税込) | 60分 10,780円 | 60分 19,800円 | 80分 27,500円 | 50分 11,000円 |
| 訪問時間や交通費 | 0円 | 5,500〜14,500円 | 3,300円 | 0円 |
| 対応地区 | 東京・神奈川 埼玉・千葉 大阪・京都・兵庫 | 東京・大阪 | 東京・神奈川 茨城・千葉 | 東京・神奈川 |
クラウドケアは、現在キャンペーン中でお試し価格で初回は1時間5,500円(税込)で利用できるそうです。
終了日時の記載はありません。


クラウドケア公式サイトでは、リハビリの例として次のような支援が紹介されています。
✅マッサージを中心としたリハビリも可能
✅廃用症候群は90度に座る時間を増やすことからスタート
✅半身麻痺にはレベルに合わせた手足を頑張って使うメニューを作成
自費リハビリは継続して利用することも多いため、1回の料金だけでなく、続けた場合の費用も比較して選ぶことが大切です。
保険外サービスを使った外出支援
本人がリハビリに前向きであれば、訪問リハビリでも十分効果が期待できます。
しかし、本人が乗り気でない場合、そのまま意欲が低下していくのを見守るしかない…という状況は避けたいものです。


そんなときは、「リハビリをする」のではなく、外に出てみるという方法もあります。
施設ではあまり活発ではなかった方でも、外食に出かけると、人が変わったように元気に食事をされることがあります。
これは介護の現場では、わりとよく見る「あるある」のひとつです。
環境が変わることで気持ちが動き、「食べたい」「行ってみたい」「自分でやりたい」という、その人の中にある意欲が自然に引き出されることがあります。


食事だけでなく、外出そのものが心身への刺激になります。
段差を歩く、自分で会計する、行きたい場所を選ぶ、人と関わる。
こうした日常生活や社会参加そのものが、自然と体や頭を使う機会になります。


ご家族が何度も外出の機会をつくるのが難しい場合でも、介護保険外サービスを利用すれば、本人の希望に合わせて外出支援を依頼することができます。
【外出支援】を頼めるサービスを探している方へ
大手の自費介護サービス4社を、料金・特徴から比較しました。⬇︎


まとめ
特養に入ると、病院や老健と同じようなリハビリを続けることは難しくなります。
でも、「特養に入ったらリハビリができない」わけではありません。
専門職による機能訓練もあれば、日々の暮らしの中で「できること」を維持する生活リハもあります。
それでも足りないと感じたときは、自費のリハビリや外出支援を利用する方法もあります。
今できていることを少しでも長く続けるために、施設の中だけでなく、さまざまなアプローチがあることを知ってもらえたらと思います。


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