在宅介護の家族支援|本人を支える仕組みと新しいサービス

在宅介護では、日々のケアの積み重ねが欠かせません。しかし同時に、介護する家族への支えもとても重要です。
「安心して続けられる仕組み」と「気持ちを前向きにしてくれる楽しみ」がなければ、介護を担う家族にとっても、ご本人にとっても大きな負担となってしまいます。
今回は、生活を支えるだけでなく「心を豊かにする新しいサービス」にも注目してみます。
お墓参り代行のように、これまでになかった視点で高齢者やその家族を助ける取り組みも増えています。
ここでは、楽しみを届けるサービスや、安心を支える仕組みの両方を紹介し、在宅介護をもっと快適に、もっと前向きにできるヒントをまとめました。
新しい楽しみを届ける介護サービス
在宅介護では「食事・入浴・排泄」など生活の基本が優先されがちですが、実は「楽しみ」や「心の充実」も非常に大切です。
介護の現場では、この部分が後回しにされてしまうことも少なくありません。
ここでは、心を前向きにしてくれる新しい取り組みを紹介します。
音楽レクリエーションの訪問サービス
最近では、自宅にいながら音楽を楽しめる介護サービスも広がっています。
例えば、クラウドケアとリリムジカが提携して開始した「訪問音楽サービス」では、専門の音楽ファシリテーターが利用者の自宅を訪問し、一緒に歌ったり演奏したりする活動を通じて心身のリフレッシュをサポートしています。

「音楽の持つ力で、在宅介護の方やご家族に“ひとときの楽しみ”を届けたい」
【訪問音楽サービス (提供元: 株式会社リリムジカ)より】
懐かしい歌を一緒に歌うことで、認知症の方が思い出を取り戻すように反応したり、普段は会話が少ない利用者さんが自然に声を出すきっかけになることもあります。
心地よい時間が「生活の張り合い」となり、介護される側だけでなく家族の心にも潤いを与える効果が期待できます。
また、Leaf所属の音楽療法士による訪問サービスでは、個々の好みや体調に合わせたオーダーメイドの音楽プログラムを提供。
ギターやピアノを使った生演奏を取り入れるなど、臨場感のある体験が特徴です。
オンライン対応も可能で、遠方に住む家族も一緒に参加できる仕組みがあり、「音楽を通じて介護と家族の距離が近づく」という価値も生まれています

【Leaf 音楽療法センターHPより】
「介護=お世話を受ける」という受け身だけでなく、「一緒に歌う」「体を動かす」という能動的な時間を持つことで、ご本人も家族も前向きになれるのが大きな魅力です。
オンライン旅行サービス「旅介(たびすけ)TV」
外出が難しい高齢者や在宅介護のご家庭でも、「旅行気分」を味わえるのがオンライン旅行サービスです。
代表的な例が「旅介TV」。
全国の観光地やイベントを生中継し、自宅にいながら参加者全員で旅を楽しめる仕組みです。

「介護が必要な方でも“行けない場所に行ける喜び”を感じてもらいたい」
【旅介TV公式サイトより】
例えば、桜の名所を映した映像を見ながら季節を感じたり、ガイドさんの話に耳を傾けて「昔この場所に行ったことがある」と会話が弾むこともあります。
単なる映像配信にとどまらず、参加者同士やスタッフとのやり取りがあるため「社会とのつながり」を持てる点も大きな魅力です。
実際に行われた「北海道旅行編」では、美しい映像を見ながら現地ガイドの説明を聞き、参加者は「まるで旅行している気分になれた」と好評でした。
さらに、画面を通して孫と一緒に楽しむ家庭もあり、「一緒に旅行に行けたようで嬉しかった」との声も寄せられています。
オンライン旅行は単なる映像視聴ではなく、「体操や脳トレ」など参加型コンテンツも組み込まれており、心身の活性化にもつながります。
お墓参り代行サービス 思いを届ける新しい形
少し変わったサービスとして、お墓参りを代行してくれる取り組みも始まっています。
特に、第一交通産業や八王子交通などタクシー会社が積極的に展開しており、遠方に住む家族や体が不自由でお墓参りに行けない人に代わって清掃や献花を行ってくれます。
利用者からは、
- 「遠くに住んでいて行けないけど、写真付きで報告してもらえて安心した」
- 「きれいにしてもらえて、心が落ち着いた」
といった声が寄せられています。
さらに一部の事業者では、オンライン配信でお墓参りの様子をリアルタイムに確認できるサービスも始まっており、新しい供養の形として注目されています。
在宅介護をしているご家族にとって「お墓参りに連れて行けない」という負担や罪悪感を軽くしてくれる点でも、大きな支えになるサービスです。
在宅介護を支える基本の仕組み
介護タクシー 通院・外出を安心に
車椅子のまま乗れる車両や、介護資格を持つドライバーが同乗する「介護タクシー」は、在宅介護を続けるご家庭にとって大きな支えです。
特に通院は在宅介護で必ず発生するニーズですが、「車の乗り降りが大変」「家族だけでは対応できない」という声は少なくありません。
介護タクシーを活用することで、安心して病院や買い物に出かけられる環境が整います。
➡︎詳しくはこちら:[介護タクシーの特徴まとめ記事]

地域包括支援センター 介護の相談窓口
「介護のこと、誰に相談したらいいかわからない…」と悩むときの拠り所になるのが、地域包括支援センターです。
介護保険の申請サポートから、地域の見守りネットワークとの連携まで、幅広い相談が可能です。
困ったらまずはここへ相談することを覚えておくと安心です。
➡︎関連記事:[介護認定を受けたくない親への対応まとめ]

在宅での見守りサービス離れ て暮らす家族に安心を
ただし、地域包括支援センターはあくまで「相談窓口」であり、実際に日常生活の見守りを行うわけではありません。
「親が一人で過ごす夜が心配」「遠方に住んでいるから、緊急時に駆けつけられない」──そんな不安を補えるのが、セコムの在宅見守りサービスです。
セコムでは、ご自宅に緊急ボタンを設置し、万一の体調不良や転倒の際にはワンタッチで専門スタッフが駆けつけてくれます。
24時間365日の対応で、本人だけでなく離れて暮らす家族にとっても大きな安心材料になります。


介護保険外サービス「イチロウ」 保険ではカバーできない部分を補う
介護保険内サービスには利用回数や時間の制限があり、「もっと手厚い支援が欲しい」という場面も出てきます。
そんな時に頼りになるのが、介護保険外のサービス。
代表的な例が「イチロウ」です。
通院付き添いや長時間の見守り、夜間対応など、柔軟なサービスを提供してくれます。
➡︎詳しくはこちら:[イチロウの特徴と体験談記事]

まとめ
在宅介護を続ける上で欠かせないのは、安心の仕組みと楽しみの選択肢です。
- 楽しみを広げるサービス:音楽レクリエーション、オンライン旅行
- 思いを届けるサービス:お墓参り代行
- 安心を支えるサービス:介護タクシー、地域包括支援センター、イチロウ
介護はどうしても「大変さ」に注目が集まりがちですが、こうしたサービスを取り入れることで、介護される側もする側も心豊かに過ごすことができます。
「支える」と「楽しむ」を両立させる工夫こそが、介護の負担を和らげ、家族の時間を大切にする一歩になります。ぜひ、お住まいの地域や利用できるサービスを調べて、日々の介護生活に取り入れてみてください。
※紹介したサービスは今後変更される可能性があり、リンク切れになる場合もあります。その際は「在宅 レクリエーション」「高齢者 向けサービス」などで検索して、最新の情報を調べてみてください。