2025年 介護保険の制度改正まとめ|やさしく解説

「何が決まった?」「これからどうなるの?」
2025年の介護保険は大きな節目を迎えました。
団塊の世代がすべて75歳以上になり、介護のニーズがぐっと増えた年だからです。
介護保険の制度は毎年のように少しずつ変わっていて、「結局どう変わったの?」と戸惑う方も多いと思います。
しかし、自宅でご家族を介護している方にとっては、制度の変更がそのまま生活に影響します。
この記事では、できるだけ専門用語を使わずに、わかりやすく整理しました。
2025年にすでに決まったこと、そしてこれから議論されることを分けて解説していきます。
まずは決まったこと(確定分)

1. 介護報酬の改定(2025年4月から)
介護サービスの事業所に入るお金(=介護報酬)が見直されました。
全体では +1.59%の引き上げ となり、特に「介護職員の給料を改善すること」に力を入れています。
ポイント
⚫︎処遇改善加算の一本化
これまで3種類に分かれていた「職員の給料を上げるための加算」が一本にまとまりました。
→ 仕組みがシンプルになり、事業所もわかりやすくなります。
⚫︎科学的介護の評価
介護の質をデータで見える化し、その結果に応じて評価(報酬)する仕組みが強化されました。
→ 「何となく」ではなく「データに基づく介護」を推進。
⚫︎ICT活用・効率化の評価
タブレットや記録システムを活用して効率化に取り組む施設に報酬をプラス。
→ 人手不足を補う工夫を応援する仕組みです。
2. 福祉用具貸与の見直し
車いすやベッドなどの福祉用具をレンタルするときの料金に、全国一律の上限が設けられました。
これまでは地域や事業所によって料金差が大きく、「同じ用具なのに高い/安い」という不公平があったため、価格がわかりやすくなります。
3. ケアマネジメントの見直し
介護サービスの計画を立てる「ケアマネジャー」の仕組みも変わりました。
⚫︎ケアプラン(介護計画)の有料化が議論されましたが、今回は見送りになりました。
⚫︎一方で、ケアマネジャーがICTを活用して効率よく仕事できるように、報酬の評価が新設されました。
利用者にとっては「これまで通りケアプランは無料」で安心ですが、有料化が検討されるくらい大変なお仕事なのだということですね。
今後に向けて議論されていること(検討中)

ここから先は「まだ決定していないけれど、議論が進んでいるテーマ」です。
実際に制度に反映されるかは今後の政治判断次第ですが、介護に関わるご家族にとって知っておくと安心です。
4. 利用者負担の見直し
現在は所得に応じて1割~3割の自己負担ですが、2割負担の対象を広げる案が出ています。
「負担の公平性」を考えると、高所得者にはもう少し負担してもらおうという考え方です。
5. 要介護1・2のサービス見直し
軽度の方(要介護1・2)の通所リハビリや訪問介護の一部を、市町村の「総合事業」に移す案があります。
→ 国の保険給付から外れるため、「サービスが減るのでは」と不安視されています。
6. 地域包括ケアの強化
住み慣れた地域で暮らし続けるために、医療・介護・住まい・生活支援をセットで考える「地域包括ケアシステム」がさらに重視されています。
特に人口が減る地域では、サービスを維持する工夫が課題です。
7. 制度の持続可能性(財源の確保)
高齢者が増える一方で、介護の財源(保険料や税金)の確保が大きな課題になっています。
「誰がどれだけ負担するのか」という議論は避けられず、今後の改正の焦点となります。
まとめ
2025年の介護保険制度改正は、すでに 「報酬改定」「福祉用具の見直し」「ケアマネの仕組み」 が確定しました。
これらはすぐに現場や利用者に影響がある内容です。
一方で、「利用者負担の拡大」「要介護1・2の扱い」「財源問題」 などはまだ検討中ですが、今後数年のあいだに制度へ反映される可能性があります。
つまり、2025年は「変化の第一歩」。これから数年かけて、さらに大きな見直しが進むかもしれません。