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高級老人ホームで働いたら驚いた|介護士が体験したリアルな6日間

fuwafuwaunako

やっぱり高級なところに行けば、良い介護が受けられるのかな

そんな疑問に対して、現場で実際に働いてみた介護士の目線からお答えします。

この記事は、私が平均より少し高価格帯の有料老人ホームで6日間短期バイトとして働いたリアルな体験レポートです。

この記事でわかること
  • 高級老人ホームと一般的な施設との違いとは?
  • 入浴や食事など日常ケアのレベル感
  • 入居者さんの生活の様子と本音
  • 職員の働き方と教育の質
  • 高級施設に入るべきかどうか、判断材料になるポイント

前提情報|施設の概要と地域背景

私が勤務した地域の人口は約54万人、高齢化率は20.9%で、5人に1人が高齢者です。特養と有料老人ホームの数は90件以上存在します。

今回働いたのは、資本金27億円以上を持ち、2000年以降高級な有料老人ホームを全国に100件以上展開している大手法人が運営する施設。

勤務先はその中でも“お手頃価格帯”とされるシリーズですが、この地域の相場からすると高価格帯に分類されます。

どこの施設かが特定されることは望んでいませんので、その可能性がある場合は少し数字を調整していますが、全て私自身が経験した事実であり私的な表現であることご理解お願いします。

第一印象|入った瞬間にわかる“違い”

初めて足を踏み入れた際、見た目には特別な高級感は感じませんでした。
しかし入居者さんと接するとその“違い”は明確になりました。

・お化粧やスカーフで身だしなみに気を配っている方が多い
・和服で食堂に来られる方もおられる
・施設全体にアロマのような香りが漂い、まるでホテルのよう
・職員はポロシャツではなくシャツを着用し、髪型も整っている

勤務初日からPHS、共用部と個室の鍵、入浴予定者リストを渡され、施設の説明後すぐに業務スタート。ロッカールームへの案内もなく、自主的に動くことが求められました。
信頼されていると同時に、自律した行動が前提になっていることがわかります。

接遇レベルの高さ|ノックの数から違う

職員用休憩室のドアには「3回ノックしてから静かに開けてください」との張り紙。

これが入居者さんの居室でも自然に実践されており、 一般施設にありがちな“コンコンッ”やノックなしでの入室とは全く異なります。

この“たった1つのマナー”に、施設としての教育や品格がにじみ出ていました。

入浴の様子|個別性と対応力の差

一般家庭浴

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認知機能がしっかりしている方は「今日はお風呂ね」と笑顔で迎えてくださり、洗濯物の管理とお話し相手が主な業務。ドライクリーニングの洋服など、持ち物にも“質の高さ”を感じました。

機械浴

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介助が必要な方への入浴では、ベテランのパートさんとペアに。設備も整っており、インカムで職員間の連携もスムーズ。主任がすぐに応援に来てくれる体制もあり、効率的でストレスが少ない現場でした。

ただし、会話が少なく流れ作業に近いため、入浴の“満足度”は個浴のほうが高い印象でした。

入浴拒否への対応|無理強いをしない姿勢

どの施設にも「お風呂に入りたくない」という入居者さんは一定数います。
中には「風邪をひいた」「今朝入ったばかり」など、あらゆる理由で断る方も。
ですが介護保険法では、週2回以上の入浴または清拭が義務づけられており、現場としてはなんとか実現させる必要があります。

説得で時間をかければ入ってくださる方もいれば、
「嫌だから嫌」と強固な拒否を示される方もいます。
後者の場合、最終的には複数名で、多少強引でも入浴対応が必要になることもありますが、
多くの方が入浴後はすっきりした表情をされるのが現実です。

今回働いた高級老人ホームでも、入浴拒否の方がおられました。
その方には予告し、時間を置いて再度訪室しましたが、拒否は変わらず。
悩んでいたところに主任さんが現れ、「今日はやめておこう。いいよ、いいよ。」と優しく声をかけ、無理強いせずに場を収めてくれました。

このような裁量ある対応ができる現場は、入居者さんの尊厳を大切にしている証拠だと感じました。

食事の様子|まるでレストラン

各階ではなく、全入居者が1階のダイニングに集まり食事をします。

・食器はメラミンではなく陶器、しかも分厚く高級感のあるもの

・席は決まっているようでしたが、名札などはなし

・食事時間は介護職員が集結して、レストランスタッフのように食事を提供

介助が必要な方には、無理をさせず本人のペースに合わせ、どうしてもお食事が進まない場合は高カロリーゼリーやドリンクで補います。

Amazon:ネスレ アイソカルゼリー

補助食品だけで3年間元気に過ごされた100歳超えの方がいた経験からも、食の選択肢の多さは重要だと感じました。
「まだお家で十分暮らせるけど食事の量が減って筋肉量の減少が心配」このような状態であれば、補助食品はとても効率的と言えるでしょう。

入居者さんの本音

浴室などで伺った印象的なお話

  • 「陽が入りすぎる部屋が暑くて」と漏らしたら、逆に羨ましがられて反省した話
  • 自分の前にお風呂に入った人の行動を気にする人
  • 食事の席の人間関係で部屋にこもってしまう人
  • ある入居者が転倒し“終わった”と噂する様子
  • ゴルフ会員権や土地の話を自慢する方々

施設への評価や不満よりも“人間関係の繊細さ”が印象的でした。

職員の働き方と雰囲気

こちらの施設では短時間勤務やピンポインでのバイトなので、職員さんと一緒に休憩をしたりお食事をしたりといった交流の機会が少なかったですが、以下のような声が印象的でした。

  • 子育て中の急な休みに理解があり、自己肯定感が上がった
  • 会社とリーダーへの信頼感がある

エンゲージ等の外部サイトによる口コミ情報

・離職率が低く、臨時ボーナス実績もあり
・年1回のキャリアパス試験で昇給が決定(筆記、実技、自己・他者評価の総合判断)
・更衣も勤務時間に含まれ、残業代も1分単位で支給
・20代の統括リーダーもいる

短期バイトも、施設からの募集が始まるとすごい勢いで仕事が埋まり、サイトのチェックを怠るとすでに満員で、バイトにすら入れません。
最近は、短期バイトからの直接雇用が増えたそうで、入浴のバイトは募集自体がなくなってしまいました。

このことからホワイト企業であり、職員が働きやすい環境だということがわかります。

ベテラン介護士から見たこの施設の特徴

⚫︎教育制度・評価制度が明確で、安心して働ける環境が整っているからか、若い従業員が多く身だしなみも整った人しかいない。

⚫︎接遇マナーが生活の基本に染み込んでいて、従業員の質が高い。

⚫︎職員が使う洗面所に、林ユミさんのイラストが貼られていました。

”綺麗に使って下さい”とも、”汚すな”とも書いていません。
このイラスト一枚で業務効率と温かみが共存していることが表れています。

⚫︎職員の自律性を重んじる“任せる介護”

⚫︎入居者の“暮らしの質”が高く、生活にゆとりがある

総評|“高級だから良い”ではない、けれど確かに“違い”はある

高級有料老人ホームには、料金に見合うサービスが提供されていると感じました。

ただし、それは単なる金額ではなく、理念と文化が現場に根づいているかどうかにかかっています。

職員の振る舞い、入居者さんへの対応、施設全体の空気——どれもが丁寧で穏やかで、私自身も背筋が伸びるような体験でした。

「いくら出しても良い施設に入れたい」 そう願うご家族様にとって、価格だけでなく、現場職員の雰囲気と教育水準を見ることが判断材料になると感じます。

私のように短期で関わった介護士の視点でも、「ここは違う」と思える場所。

“高級施設”とひとくくりにせず、実際に現場を見て、働く人・暮らす人の空気を感じてから判断されることをおすすめします。

🔗 あわせて読みたい:入居ミスマッチを防ぐために。
→ 老人ホームに入居する事を決めた今!”ヤバい施設”を見抜ける簡単な方法の、見学時に使えるチェックリストに沿って評価してみました。

入居者の様子肌の保湿肌が乾燥していないか全体に確認乾燥している方はおられませんでした
髪の毛髪の毛が整っているかはい、整っています
膝掛けや上着適切な服装で過ごしているかはい、適切でした
好きなところにいる自由に移動できる環境があるかエレベーターのロックもかかっておらず、自由だと感じました
職員の様子どこを向いているか入居者の見守りができる位置で作業しているか居室内以外は、複数の目があり安心だと思いました
無駄話をしているか職員同士のコミュニケーションが活発か職員同士は死後はほとんど見られませんでした
表情入居者に向ける表情が穏やかかはい、穏やかです
物の配置椅子とテーブルその人にあったテーブルや椅子を使用しているか自立の方が多いせいか、調整の効くテーブルは台数が少なめでした
動線車椅子が通るのに邪魔のものが置いていないか広々として、雑多なものは一切見当たりません
入居者向け掲示物高齢者が見やすい配慮があるかあまり掲示物自体がない施設でしたが、低い位置に数枚張り紙がありました
職員向け掲示物管理が適切か無駄なくスッキリしていました
内容は前向きか優しさと温かさのある張り紙ばかりでした

全ての項目で❌のない施設はこれまでの中で初めてです。
参考にしたい所が非常に沢山ある施設でした。

🔍 見学時のポイント

上記のような内容はパンフレットや職員の説明だけでは、決して見えてこない部分です。

施設の体制や空気感を知るためにも、実際に施設の中を見て感じることが一番
このレポートから、少しでもヒントを得ていただけたら嬉しいです。

見学中、気になることがあれば、その場でどんどん質問して大丈夫です。
それは、ご家族様が入居者さんを大切に思っているからこそ。
職員側も、相手の姿勢に応じて真剣に応えてくれるはずです。

💬 最後に伝えたいこと

結局のところ、介護は人と人との関わりの中で行われるもの
どんなに評判が良い施設でも、「相性」の問題は避けられません。

完璧な施設など存在しません。
70〜80点を取れたら“合格点”で、◎や○でなくても、△でも構わないのです。

そして、入居後にご本人様・ご家族様と施設側が信頼関係を築いていくことで、
△が丸に近い三角になって行く—
そんな施設選びが理想的だと思います。

今後も別の施設の潜入レポートを随時更新していきますので、
ぜひブックマークしてご活用くださいね。

ABOUT ME
三角 丸子
三角 丸子
介護のお困り助けたい
子供ひとり、親3人。
銀座のクラブホステス、栄養士を経て介護士に転身。
現場「介護士」と、入居のお手伝いをする「生活相談員」での経験を活かし
これから入居を考えるご家族様の目線に立った情報を発信します。
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