施設に入居するけど「どんな服を持たせればいいのかわからない…」
多くの方がまず悩むのが「衣類の準備」ですよね。

⚫︎何を何枚用意すればいいの?
⚫︎全部に名前書かなくちゃいけないの?
⚫︎パジャマは必要?
自分で思うように動けず、誰かに手伝ってもらわないと生活ができない入居者さんにとっては、服装ひとつで快適さが改善することがあります。
この記事では、入居者さんが快適に暮らしていけるように、衣類選びのコツやポイントをお知らせします。
大切なご家族様が安心して過ごせるように、ぜひお洋服選びの参考にしてください。
枚数
一般的には3日分程度の枚数があれば良いとされています。
⚫︎普段着は上下3〜5セット(1週間に2回選択する施設)
⚫︎肌着も3〜5セット
⚫︎靴下5足程度
⚫︎調整用の掛け物
カーディガン
ベスト
膝掛け など
⚫︎普段からパジャマ(寝る用の服)に着替える習慣のある方はパジャマ3セット
⚫︎失禁やよだれなどが多い場合はプラス数枚が必要になる
衣替えは職員でするのか家族がするのか確認すると良いでしょう。
こちらの参考枚数は、今着られる枚数のことです。
種類・特徴
⚫︎薄い長袖
基本的に空調が整っていますので、真夏でも活動量が少なく筋肉量も少ない高齢者は半袖だと寒がる方が多いです。
暑がりの方は元気に半袖を着ていますのでその方の好みに合わせてください。
⚫︎肌にやさしい素材
⚫︎脱ぎ着がしやすいもの
⚫︎動きやすいもの(装飾の少ないもの)
⚫︎本人の好みのもの
⚫︎洗濯や乾燥機に耐える丈夫なもの(ウールやシルクなどの縮む素材は避ける)
思い入れのある衣類も避けた方が良い
介護に適した衣類とは… 本人様の喜ぶ衣類
靴下

男性の場合、時々長いビジネスソックスのようなものをお持ちになる方おられるのですが、ご本人様によほどのこだわりがある場合を除いて、介護には不向きということをお伝えしたいです。
細身に作られていて、履かせるのに大変苦労するからです。
介護士が苦労するということ=履かせられるご本人様にも負担がかかっているということになります。
男女問わず、年齢とともに爪が変形したり、足がむくんで大きくなったりすることは珍しくありません。

この写真は足にむくみのある女性の写真です。
の模様の糸が足を圧迫してできたものです。
本人様は「痛くはない」とおっしゃってましたが、シンプルなものを履かせてあげたくなります。
足を締めつけない、ゆったりとした靴下が、ご本人様にとっても安心で心地よい選択になることが多いのです。
実際の困った靴下
⚫ ︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎表面のデザインが凝っていて、靴下の内側にたくさんの糸が交差している。
履かせるたびに爪に引っ掛かるので爪剥がれの事故覚悟で挑む。
⚫︎サイズが小さい五本指ソックス。
靴下を履くために5分はかかる。ご本人様も気の毒そう。
本人に優しい靴下
例えばこんな感じの靴下はいかがでしょうか?
肌着

介護用肌着によくあるマジックテープ式は、新しいうちは便利ですが、使い続けると糸くずやホコリが絡まって、留まりにくくなります。
私の経験では、胸元やお腹が開いてしまう方も少なくありませんでした。

選ぶなら、劣化しにくいプラスチックボタン式やスナップボタン式もおすすめです。前開きなので介助のしやすさは変わりません。
実は、深刻なのは「皮膚トラブル」や「拘縮」です

皮膚にかゆみのある方に適したお洋服選び
これはあったかインナー(化学繊維)で肌荒れした様子です。

体に酷いかゆみがあり、皮膚が真っ赤になって無数のかき痕がある方が時々おられますが、その中には、肌に直接触れる衣類がすべて化学繊維でできていたというケースがあります。
ここでたくさんの介護士が大きく頷いているはずです。
特に(ポリエステル・ポリウレタン・アクリルなど)は、あったか肌着であっても、見た目が華やかであっても、人によっては肌への刺激となっている可能性があります。


かゆみを訴える方に保湿だけで対応しても、なかなか改善しない場合があります。
そんなときは、直接肌に当たる肌着の素材や、重ね着する洋服の質感を綿・麻・絹などの天然素材などに見直すことで、症状が和らぐケースを多く見てきました。
おすすめはお洗濯がしやすい綿100%です。
お家で洗えるシルク80% コットン20%のカーディガン ↓
拘縮のある方に適したお洋服選び
ここからは、少し介護度が上がった、介助量の多くなった方向けの内容となります。
実際の拘縮の例

Amazon:フレイル高齢者の関節可動域-ケアの指標としての活用より

上記の例は酷くなった後の状態ですが、介護現場にはたくさんの拘縮を持つ方が入居されています。
多く見られる形にこの2パターンがあります。


体に拘縮(関節や筋肉が硬くこわばる状態)がある方は、ゆっくりと進行していきます。
施設での生活が続くと、ご家族様にはその進行や老化そのものが見えにくくなり、ご本人様の現状とご家族様の認識にズレが生じることもあります。
⚫︎拘縮が進行すると起こること
- 脇と二の腕が密着し、動かそうとすると本人の体に強く力が入る
- 手の内側の清潔保持が難しくなる、爪が手のひらに食い込む
- 太ももが開かなくなる など
このような状態では、着替えや排泄介助には非常に大きな労力がかかり、ご本人にも負担がかかります。
そのため、私たち介護士はご家族様に「身体に負担の少ない衣類」をお願いするのですが、うまく伝わらないことも多く、何度も調整やお願いを繰り返してきました。
⚫︎衣類選びのポイント
前開きで、ある程度伸縮性のある衣類でワンサイズ大きめ
かぶり式の物も、着せられないわけではありませんが、前開きの方が本人様の負担が少ないと思います。

拘縮の度合いが高い方に無理に被り物を着せると、肘やおでこの部分、首の後ろの部分に負担がかかり真っ赤になったり、皮膚がめくれることもあります。

かといって、伸びすぎるものはかえって不便です。
すぐに破けたり伸び切ってしまってお洋服自体がすぐに使えなくなります。
サイズについて
脱いだり着たりする時に余裕が欲しいので、その方の普段のサイズよりワンサイズ大きめのものを選ぶと安心です。
通気性について
寝たきりの方は車椅子やベッドに背中全体が密着している時間が長いです。
背中に刺繍やワッペンのような物があると汗がこもってしまいますのでフラットでシンプルなものが適しています。
実際に、「前開きでスナップボタンの上着をお願いします」とお伝えしたところ、ご家族様が条件をしっかり満たしたスカジャンを購入してくださったことがありました。

もちろん善意で選んでくださったのですが、本人様の背中が汗ビショになり結局使えませんでした。
⚫︎最初に相談してから選びましょう
お洋服選びは、まず介護士と話し合い、意見をすり合わせることが大切です。
市販の介護用パジャマであっても、使い勝手によっては逆に不便なこともありますので、よく相談していただけると助かります。
少し価格は高いですが、おすすめはこちらです。
やわら着 前開きシャツ オールシーズン 男女兼用↓
夏用の縮緬素材の上着↓ 汗をかきやすい方に
介護のポイントを押さえた衣類が揃っていて、現場介護士が「まさにこんなお洋服が欲しかった」と思うものが多いです。
デザイナーさんが 高齢者施設に通って 介護を体験しながら開発した、お洋服が購入できます。
個人的には、病院で支給される病衣に近い感覚で、自身でオシャレを楽しめる段階ではなく、かなり介護度が進んでからの方が適していると感じます。
名前付けのおすすめ方法

複数人介護の現場で、名前が消えていく日常
お洋服の場合は、洗濯を繰り返すうちに名前がだんだん薄くなってしまいます。
そのたびに、居室の担当職員、入浴担当、洗濯係などが油性マジック片手に上書きをします。
黒い服はさらに大変で、
白ペンで書いても、すぐに薄くなって読めなくなってしまいます。
自分の担当する入居者さんの黒い衣類を自宅に持ち帰り、
自腹でアイロンテープに名前を書いて貼る職員もいました。
名前が読めない服の行き場は?
それでも、名前が読めない服は誰のタンスにも戻れず、段ボールに積み上がっていきます。

ご家族様が施設の相談員とやり取りするのは入居まで。
実際に持ち物に名前を書いて管理するのは、入居後に初めて関わる介護職員です。
そのため、「こういう方法で記名してください」とはなかなかお伝えできずにいました。
でも、今なら言えます。
どうか、アイロンテープでお名前をつけて欲しいです。お願いします。
最近は、お名前を印刷して送ってくださるサービスもあります。
アイロンをするだけでOKなので、とても便利です。
フロッキーネーム↓
もちろん、無地のテープにご自身で名前を書いて、アイロンで貼り付ける方法でも大丈夫です。
右側の青いタイプは伸縮性があり、靴下などにもおすすめです。
剥がれないためにひと工夫
ご紹介した全てでアイロンの温度が足りないと、テープはすぐに剥がれてしまいます。
フロッキー以外はできれば、ミシンや手縫いで軽く縫い付けていただけるとさらに安心です。
こうした工夫で、名前が消えて、段ボールに積まれていくお洋服の数は、ぐっと減らすことができます。
衣類への名前つけは“位置”が重要|おすすめの場所と実例画像
どこに貼るかによって見やすさ・管理のしやすさが大きく変わります。
おすすめの貼り位置は以下の通りです
- トップス:首の内側・タグの下
- ズボン:ウエストの内側(後ろ側)
- 靴下:足裏側 or 履き口の内側
▶️ 「お洋服を広げたときにすぐに目につくところ。」がベストポジションです。






見えにくいところにあるお名前は、見落とされダンボール行きとなってしまいます。
お裁縫が難しい方へ
もし「ちょっと面倒だな…」と感じた方は、
“ココナラ”などのスキルマーケットで「裁縫代行」として依頼することも可能です。
大切なお洋服を迷子にしないために、少しだけご協力いただけたら嬉しいです。
まとめ
②本人様の喜ぶ衣類とは?(靴下・肌着・皮膚トラブル用・拘縮用)


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