介護保険だけでは守れない。保険外サービスが成立する理由と、広がる必然｜在宅介護の新しい選択肢

結論：保険外サービスは「制度の隙間」ではなく、経済の必然

介護保険外サービスは、「保険でできないこと」を補うために生まれた。
そう説明されることが多いですが、実態はもっと深い構造があります。

それは、
「制度が維持できない構造の中で、経済的に成立せざるを得なかった」という現実です。

財源が限られる中、国の制度だけで高齢化社会を支えることはもはや不可能。
一方で、介護の現場は人手不足・低賃金・離職率の高さに悩まされています。
この「制度の限界」と「市場の需要」の接点に生まれたのが、
介護保険外サービスという“もう一つの経済圏なのです。

1. 制度が支えきれなくなっている理由

介護保険制度は、2000年に「家族介護の限界」を補うために生まれました。
しかし25年を経て、人口構造も財政も当初の想定を大きく超えています。

• 高齢化率：29.1％（2025年見込み）
• 現役世代：減少中
• 介護保険財政：年々赤字拡大

つまり、支える人が減り、使う人が増えているという構図です。
その結果、国は給付抑制に舵を切らざるを得ません。

報酬単価は抑えられ、1回あたりのサービス時間も短縮。
「やりたい介護」ではなく、「点数の取れる介護」に偏っていく構造が生まれました。

「利用者さんを元気にすると報酬が下がる。
そんな仕組みでは、誰も幸せになれない。」
― 水野友喜（noteインタビューより）

なぜ介護保険で「できないこと」が増えるのか

介護保険は“公費9割＋利用者1割”で成り立つ制度。
つまり、国民全体の負担を前提にしているため、
「公平性」と「最低限性」が求められます。

その結果、制度で認められるのは以下のような命や生活維持に直結する範囲に限定されます。

本当の「生活支援」に踏み込むと、“税金では支えきれない”構造になる。
それが、制度設計上の限界です。

介護保険でできなくて実際困っていること、現場のヘルパーさんが教えてくれます

【保存版】介護保険の訪問介護でできないこと｜同居家族が失敗しないためのメリット・デメリット

保険外サービスは「負担の分散装置」

介護保険外サービスとは、制度に頼らず自己負担で介護を依頼できる仕組みです。
ここには2つの重要な経済的意義があります。

1️⃣ 財政の補完（公助の限界を市場が支える）
　公費ではカバーできない領域を民間が担うことで、
　国の財政を圧迫せず、介護全体の持続性を保つ。

2️⃣ 雇用の再分配（介護士の待遇改善）
　保険報酬に縛られないため、
　介護士のスキルや稼働時間に応じて報酬が上がる。
　働き方の多様化にもつながります。

つまり、保険外サービスは「公的制度の欠陥を補う慈善活動」ではなく、
介護経済の持続性を高める“再設計装置”なのです。

「供給不足 × 需要過多」で市場が生まれる

日本の介護職員は約200万人。
しかし厚労省の推計では、2040年までに69万人が不足すると言われています。

介護保険では時給換算1,200〜1,400円が一般的。
一方、保険外サービスでは2,000〜3,000円台での依頼も可能です。

この差が「人材の再流入」を生み出しています。
スキルを持つ介護士がフリーランス的に働けるようになり、
利用者も「必要な時に、必要な分だけ」頼める柔軟さを得る。

こうして、需要と供給が自然に合致する市場が生まれたのです。

「“安くて回らない”構造を続けても未来はない。
働き手が報われてこそ、介護の品質も上がる。」
― 水野友喜（イチロウ創業談より）

イチロウが示した「持続可能な介護経済モデル」

イチロウは、2017年に創業された介護保険外のホームヘルプサービスです。
すべてのスタッフが介護資格を持ち、オンラインで全国どこでも依頼可能。
特徴的なのは、“介護士が稼げる”と“利用者が納得できる”を両立した料金体系です。

• 最低２時間から利用可能
• 明朗な時間制料金（交通費込み）
• 全員が介護資格保有者
• スマホ完結の予約・決済システム

シンプルな料金と透明性により、
「制度では頼めないが、頼みたい介護」を安心して依頼できる仕組みを整えました。

水野代表はこう語ります。

「介護は“点数”ではなく“人”を見てこそ成立する。
自分の両親に勧められないサービスは、誰にも届けるべきじゃない。」

「介護を選べる社会」へ

介護保険外サービスは、富裕層のための贅沢ではありません。
“必要な支援を、自分で選ぶ”という当たり前の行動が、
今ようやく介護分野にも可能になった――それが最大の変化です。

• 制度に頼るだけでは限界がある
• 家族も介護士も疲弊してしまう
• 民間が担う新しい仕組みで支え合う

それが、これからの「介護のかたち」です。

両方を上手に組み合わせて使うことが、介護を持続可能なものにする。
介護保険外サービスは、制度のすき間ではなく、制度を支える“第2の柱”へと成長しています。

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🔎 参考・引用一覧

1. イチロウ株式会社公式サイト
   　https://corp.ichirou.co.jp/
   　（会社概要・Vision／Mission／Value）
2. 水野友喜代表 インタビュー（社長名鑑）
   　https://shachomeikan.jp/industry_article/3768
   　「介護保険外という新たなビジネスモデルの必要性」より
3. note記事『挑戦と変革の軌跡 ― 介護保険外サービスの新たな幕開け』
   　https://note.com/ichirou_kaigo/n/n7f6f0a8ebf74
4. 厚生労働省『介護人材の需給推計（令和6年版）』
5. イチロウ公式メール文面（資料請求時）より代表メッセージ抜粋

三角　丸子

イチロウマニア

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銀座のクラブホステスから介護士へ。
現場の介護職と生活相談員としての経験をもとに、
在宅介護・施設選び・保険外サービスなど、
家族を支える方に役立つ実践的な情報をお届けします。